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平成22年8月(葉月)のおついたち─『篝火(かがりび)』

毎月1日とその前日限り、店頭にて販売

 子どもの頃―母が着せてくれた浴衣、真新しい下駄、薄化粧… いつもと違う装いに、心弾ませた記憶が確かにあります。かつて、とても身近に感じた夏祭りが、いつの間にかすっかり手の届かない遠いものになってしまったような気がします。近所のお祭りで、十分に心満たされたあの頃―。
 誰もが忙しい現代ですから、個々の家庭において、季節の行事を欠かさないでいることは簡単ではありません。また、昔と違って、行事に必要な植物や道具が手に入りにくかったり、そもそも何が必要なのか教えてくれる人がいなかったり、何のための行事なのかわからないという若い人が増えているそうです。
 反面、日本の文化を愛する外国人たちは、「Cool Japan」ブームで、日本の文化、風習にとどまらず、日本人の心の機微までも感じ取ろうと勉強して、日本人より詳しく説明できる人がいるほどです。本当は若い人たちも、誰かに教えてほしいとか、季節を感じる行事の復活を心の中で願っているのではないでしょうか。

 夏の宵遊びは篝火のあかりでー

 たとえば篝火の中で鑑賞する薪能や、夏の夜の雅楽コンサート。笙や篳篥、龍笛による千二百年の時を経た古の音色が、今も変わらず奉納されます。また、夏祭りの神輿渡御や御囃子も伝統ある神事の一つなのです。

 さて、古の日本文化と言えば、繊細な日本画にも注目が集まっているようです。
 四国は金刀比羅宮書院には江戸時代中期を代表する画家、円山応挙の障壁画や伊藤若冲の襖絵が数多く収蔵されています。当時、文化の中心であった京都や江戸から遠く離れた四国の地になぜこれほどに芸術が集まったのでしょう。当時、金毘羅信仰は各地にとどろき、金毘羅参りはお伊勢参りと同じように流行していたといいます。そこへ当時の財閥・三井八郎兵衛の経済的支援もあり、数多くの芸術が運び込まれたとも言われています。もしかすると金刀比羅宮の書院は都の風流人の文化サロンだったのかも知れません。

 今月のおついたちは、 夏の宵闇に燃え上がる「篝火」を。中餡は黄色にして、赤色に染めた葛で炎の形に包みました。
 可愛らしいピンクの小花が癒しを運ぶ「初萩」は、風味づけした緑餡を包んだ葛饅頭に赤く色づけした“いら粉”を散らして。
 最近お気に入りの“大徳寺納豆”を入れた「琥珀羹」。少し冷やして食べると味が一層引き立ち、砂糖の甘さと大徳寺納豆の塩辛さのハーモニーが夏場の疲れを癒してくれることでしょう。
 突然、真っ白に煙るほど激しく襲いかかり通り過ぎる「夕立ち」を、泡雪羹で。鏝で焼き付けた激しい雨足と、雨上がりの静寂のように口の中でトロリと消える食感をお楽しみください。
 立秋を迎えた初秋の野の風情を、黄色と緑に染め分けた餡を薄い外郎でくるんだ「見えぬ風」。 種せんべいの「団扇」もおつけして。

涼風の 曲がりくねって 来りけり(一茶)

 今月もお元気で「おついたち」をお楽しみください。

元気で生きる 主人 田口 恵美子
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