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平成26年3月(弥生)のおついたち ~ 日本国中のお雛さま ~

毎月1日とその前日限り、店頭にて販売

老いてこそ なほ懐かしや ひな飾る  及川貞

春、芽吹きの頃、今年も全国でお雛さまのお出ましです。
荒川区南千住の素盞雄神社ではお役目を終えた様々な雛人形が200種類はあるでしょうか。いくつもの杜の舎にぎっしりと雛が飾られています。祖母がよく「人形が人形を呼ぶ」と申しておりましたが、人形たちは数奇な運命を経て長い年月をかけて縁あってあの神社に集まってきました。一つひとつの人形にはきっと数多くの思い出が秘められ、見に訪れてくれる人間に人生を語っているのでしょう。一度訪れれば毎年行ってあげたくなることでしょう。

千葉の勝浦にもちょうど今頃行きましたら、街じゅうにお雛様が飾られ、神社では石段に緋毛氈を敷き50段はあろうかという階段雛が鎮座しておりました。
京都の賀茂御祖(かもみおや)神社、通称下鴨神社では毎年3月3日に桟俵(さんだわら)にのせた雛人形を境内の御手洗川に流し、子どもたちの無病息災を祈る神事が行われるそうで、これは宮中行事を再現したもので、平安時代から続く神事。お雛さま役の男女が衣冠と十二単で扮装する華やかなセレモニーがいちばんの見処です。

奈良時代以前から畿内と因幡地方を結ぶ主要道であった因幡街道(通称上方往来または智頭往来)と岡山に抜ける備前街道(備前往来)の交わる智頭は、周囲を山に囲まれた趣ある宿場町です。「智頭(ちづ)」の呼び名は、この地が古くは因幡国から見れば官道の先端であり、道のことをかつては「ち」と呼んだことから「道の頭」という意味でついたといい伝えられています。因幡街道に面して建つ石谷(いしたに)家は屋号を塩屋(塩商い)といい、元禄4(1,691)年、鳥取城下から移り住み、本拠を構え大きく繁栄しました。現在でも六年目ごとの式年造営が行われている諏訪神社に隣接した石谷家は、3000坪の敷地に部屋数40余り、七棟の土蔵を有します。以前のことですが「因幡街道ふるさと振興財団」によって運営、管理された各部屋には蔵から出された石谷家の雛人形が飾られていました。今は判りませんが、町中でも子どもたちの声が消えた頃、闇に包まれた町で格子の中に雛人形の姿が浮き上がる情景はほろ酔い気分で一軒一軒覗きながらの観賞会となり各家庭に受け継がれてきたたくさんのお雛さまが勢揃いしているのを見ることができました。ほとんどが大正期から平成までの品々ですが雛人形の一つひとつに子どもの成長を願った親の愛情が込められていたことでしょう。まちにまった雛まつりは食料品店にも美容院にも飾られる雛人形。昭和の香りのする商店街の夜は映画のワンシーンと見紛うほど。今までに出会ったことのない風景にもかかわらず、なぜかとても懐かしい心地がします。

日本全国、東北地方、山陰地方、関西地方の旧家や山里には今年もまた、大切に蔵から出された雛人形たちが飾られることでしょう。時間をつくってどこかそんな場所に半日くらいゆっくりと昔日を偲びつつ過ごす時間は何とも貴重です。全国の春待つ心が込められた雛めぐりを、春の旅行の予定に加えてみてはいかがでしょうか。

今月の「おついたち」はお雛さまに召し上がって頂きたい数々の可愛らしいお菓子をおつくりしてみました。男雛、女雛、鼓、桜、菱餅、桃、みかん、りんご、甘酒の瓢箪を詰めあわせた雛箱です。お雛さまの気分になってお召し上がり下さい。

元気で生きる 主人 田口 恵美子
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