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平成22年10月(神無月)のおついたち―『小さな秋』

毎月1日とその前日限り、店頭にて販売

十月ともなると秋たけなわ。空はどこまでも高く、晴れ晴れとしてきます。
森の静寂を切り裂くような百舌(もず)の声を聞く季節。葉をおとし、陽が差し込んだ十月の森を歩いていると、しきりに栗や椎の実が落ちる音が聞こえます。生い茂る夏には見えなかった形や色、ひそやかな物音に気付き、山が「神の棲み家」であることを再確認する時です。
茜雲を燃やし山の西裾に沈んでいく落日の美しさ。秋の夕暮れのこの荘厳な瞬間に立ち会いたくて、誰も山を降りることが出来ないことでしょう。心をゆったりとして、深まる秋を想う心持ちは皆同感でしょう。どこまでも大らかで、どっしりとした気持ちになれる。これが日本の秋なのです。
そして、深まりゆく秋の中で、五穀が豊かに実り、米を主食とする日本人にとって、稲作は特に見慣れた風景で美しい。
 棚田の美しい曲線は意識して作られたものではなく、ひとりひとりの農民が自然に従い、闘ってきたことが、結果としてあぜ道の曲線となったのでしょう。棚田を見ると人間の偉大さ、ちっぽけさ、勤勉さ、しぶとさなどが複雑な思いとともに湧き上ります。自然と人間とのぎりぎりのせめぎ合いがその曲線に表されているように感じられます。
ほんのり色づき始めた葉や涼しげな虫の音とともに、深まる秋につれて山々を赤や黄色に染める紅葉が日を追って美しい錦を織りなしていきます。
茶の湯でもこの月は「名残」となり、懐石ではお客様によって向付の器を替える「寄せ向付」が一年に一度の趣向となります。
そして、秋の日は釣瓶落とし。暮れる時間は日を追うごとに早まり、
「一年のうちにも十月こそ侘(わび)なれ」(武野紹鷗)
という言葉のとおり秋の寂寞とした思いが増してまいります。

今月のおついたちは、小さな秋を小さな箱にまっ盛りにおつくりしてみました。

おりべ、月うさぎ、柿、稲の実り、栗、うさぎ、もみじ、桔梗、黄味時雨
 
今月もお元気で、お過ごしください。

元気で生きる 主人 田口 恵美子
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