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平成22年11月(霜月)のおついたち―『紅葉』

毎月1日とその前日限り、店頭にて販売

もみぢ葉は おのが染めたる色ぞかし よそげに置ける 今朝の霜かな 前大僧正慈圓

(紅葉の色を染めたのはお前なのに、まるで人ごとのように黙っているのだね。今朝の霜よ。)
                                 
十一月、木々の葉が一年で最後の輝きをみせる時。世界一美しい、紅葉の季節。紅葉(もみじ)は、桜と並んで日本を代表する木。秋に紅葉する木を紅葉と称しますが、特に美しく紅葉し、葉が子どもの手のように分かれている楓の紅葉が代表となっています。
さて、紅葉狩りに出かけてみると、時季が早かったり遅かったり。たとえ色づきが悪かろうと、残念に思わないで下さい。お茶でいうところの一期一会で「刻を楽しむ」という心持ち。たとえば、みずみずしい青紅葉は若い頃、真っ赤な紅葉は充実期。そして、茶色くなって散ってゆく様は悟りの境地。紅葉は一刻一刻移ろい変わっていくことから、人間になぞらえられるわけです。
同じ木の中でも赤くならない葉もありますので、仏教からいえば諸行無情、諸法無我、そして涅槃寂静の姿のようです。紅葉に人生の儚さを見出すのは、日本人の心のDNAに刻まれていることなのでしょうね。紅葉に映る神社・仏閣・山川の里…「そうだ、京都へ行こう」なんて紅葉の旅はいかがでしょう。
居心地の好い茶店を見つけて、さて一服、一服。あゝ美しや…。

茶の湯では、そろそろ炉の季節の先触れのように、ぽつりぽつりと早い椿が咲き始めます。再びめぐり来る椿の花どき。初花が咲くのは毎年のことながら、嬉しく楽しみなものです。
しかし、椿は炉の季節十一月に入るまでは使いません。お茶では季節の気分を先へ先へと表していきますが、椿はやはり炉の花。茶葉が入った壺の蓋の口を切る「口切り」という、最も大切な炉の茶事を飾るのは、何をおいても椿ということになります。
 また紅葉は、秋を代表する花材として伝花にもなっており、すべての花形に使われます。 いけばなにおいて花のない草木を使うときは必ず花を添えるのが決まりですが、秋の紅葉の場合は例外で、紅葉の美しさを十分に愛でるため、紅葉だけを使っていけます。赤く紅葉したものを使うだけでなく、まだ紅葉していない青葉、黄葉を取り混ぜていけていきます。紅葉の生け花は、自然の山に色づく紅葉を一瓶に表現するもので、それはまさに山の上のほうからだんだんと色づいていく様子を表現しています。真っ赤に色づいた紅葉の足もとに白椿を挿すこともあります。足もとに椿の花の白と葉の緑が加わることによって、お互いが刺激し合い作品に味わいが出てくるのです。                          
今月のおついたちは、「いつもの綺麗な和菓子もいいけれど、久しぶりに素朴なお菓子が食べたい」というリクエストがありましたので、「求肥餅」をおつくりしてみました。もっちりとした求肥餅(ぎゅうひもち)に、口当り良く煮含めた虎豆を入れ、ほのかな甘味を生かす柔らかな餠に無糖の風味良い黄名粉をまぶしてあります。シンプルなだけに難しい、餅の粘りと後味の良さ。作る職人も食べ飽きない、本当においしい逸品が出来上がりました。もう一つ、あと一つ、と手が止まらなくなりますのでご注意を。

ここで耳寄りなお知らせです。喜田家町屋店2階のギャラリーにて、毎月一度、お抹茶を愉しんでいただくお茶会をしていくことに致しました。10時から12時、14時から16時の間に御予約なしでお楽しみいただけます。開催日は毎月変わりますので町屋店に直接お尋ねください。

降霜の季節、どうぞご自愛くださってお元気にお過ごしくださいませ。        

元気で生きる 主人 田口 恵美子
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